コバ仕上げの種類と方法

レザーティップス コバ磨き

こんにちは、cobalt leather works のクリモトです。
今日のブログは久々に革の豆知識、【Leather Tips】を更新していきます。

そもそも「コバ」ってどこ?とかなんで磨くの?みたいなところもカバーしたい所存。
ではでは・・・!

Leather Tipsとは・・・
Tips = もともとIT用語で、ヒント、小ネタ、秘訣、などの意味
Leather Tips! では革についてのちょっと面白い知識をご紹介していきます。

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「コバ」ってよく聞くけど何?

コバってどこ?

コバとは、裁断した革のパーツの端の部分のこと。

通常、革の切れ端は繊維が剥き出しになっている状態。

そのまま仕上げてしまっては見栄えも耐久性も良くないので
専用の糊などを塗布して磨いたり、焼き締めたり、折り返したりすることで
繊維の部分を整えたり、隠したりします。

処理方法としては大きく分けて2種類。
「磨き」か、「ヘリ返し」。

それぞれの魅力や弱点などをお伝えしていきますので、製品選びの参考になればと思います。

なぜ剥き出しのコバをそのままにしてはいけないのか?

先述したように
まず見た目の美しさや全体のデザインへの干渉、そして剥き出しの繊維質を整え耐久力を上げる
というのが、コバ処理の主な理由です。

しかしながら、そのままにしてはいけない、というわけではないんです。
自然な風合いを敢えて残したい作風のクラフターが
磨かずにそのままの断面を使用していることを、僕は否定しません。
その雰囲気が、ブランドとして、個性として活きていればそれでいいと思います。

ただ、耐久力や使っていく上での経年変化を考えると
コバルトレザーワークス的には「磨く」一択、となるわけです。

コバ磨きについて|種類と特性

コバ磨きを細分化すると、「切り目本磨き」と、「顔料仕上げ」の2種類があります。
切り目磨きは、断面を整えた上で、布海苔や磨き剤などを染み込ませ、革自体を硬化させながら研磨する仕上げ。
一方で顔料仕上げは整えた断面に顔料を塗布し、塗り固める仕上げ方法です。

切り目本磨き

一般的なコバ磨きというと、この「切り目本磨き」が該当します。

大仰な呼称ですが、磨き方自体は実にシンプルで
革の断面をヤスリなどで整えてから、布海苔や磨き剤を塗布し、革の断面に染み込ませてから柔らかい布やウッドスリッカー、ヘラなどを使用して圧力をかけ、文字通り「磨く」作業。

染料で染め上げたり、捻を入れて焼き締めたり、蜜蝋を流し込んで耐久性を上げたりと
職人ごとにこだわりが現れやすいポイントでもあり、また革の質にも仕上がりが大きく左右されます。

ちなみに磨ける革は「タンニン鞣し」の革か、「コンビ鞣し」の革のみ。
「クロム鞣し」の革はいくら磨いても綺麗に整いません。

革の種類についてはこちらを▼

経年変化

革の経年変化について|2種類の鞣しと、変化の違い

メリットとデメリット

比較的ローコストで気軽に磨くことができますが、
美しく仕上げるためには、それ相応の高い技術力を必要とする上、時間もかかります。
経年でも大きく損なうことなく、革の本質を保ちながら美しいエイジングを楽しむことができるのも
とても魅力的なポイントです。

ただ、異素材を合わせた部分の磨き(タンニン×クロムや生地)には不向きで、素材や場所を選ぶ仕上げとなります。

顔料仕上げ

コバ磨きにおける顔料仕上げは、コバ部分に異素材を塗布・固着させることで断面を完全に隠す方法です。

革の断面を整え、顔料を塗布し、乾燥させる方法。
磨く要素よりも、塗りの技術が要求されるため、本質的には「コバ磨き」とは呼ばないかもしれません。

磨く際に、革の品質を問わず美しい仕上げが可能となりますが
顔料の質によって仕上がりの出来栄えも変わってしまいます。

特に高品質な顔料は乾燥してから強い弾性を持ち、長期間に渡り曲げたり引っ張ったりに耐えます。

ハイブランドのレザーアイテムにも良く使用されている手法です。

メリットとデメリット

慣れればとても美しいコバを仕上げることができますが、顔料自体が高価であることと
調色には経験とセンスが必要となります。
塗ってから乾燥までに時間がかかりますが、
その間他の作業もできるため上手くやりくりすれば効率的に作業が進められるのも良いところ。

塗り固めてしまうため、コバ面の経年変化は楽しめず
逆にゴム性が硬化してしまい割れたり、剥がれたりのリスクが伴うため、長い目で見ると修理は必須となる仕上げです。
ただ、それを差し引いても
素材を選ばず、均一に美しい仕上げができるということは、作り手として大きな魅力だと思います。

ヘリ返しについて

ヘリ返し コインパース

ヘリ返しとは、革の切れ端を薄く漉いて折り返す方法。

量産品で多く使用される技術の一つで、効率的かつ美しい仕上がりです。
個人的には技術力を最も必要とする技法だと思います。

特にカーブのかかった部分や、丸角の部分は直線的に折り返すことができないため
革を等間隔で刻みながら減り返す「菊寄せ」という技術や
ヘリ返しに必要な厚みや幅などを型に落とし込むためには、経験がモノを言います。

メリットとデメリット

先述したように、高い技術力が必要な仕上げのため
誰にでもすぐできる、といった手軽さがありません。

折り返し、コバの繊維部分を銀面で覆うので、非常に美しい仕上がりとなり
経年変化もしっかり楽しめるのは大きな魅力です。
ただ、薄くなっているためよく触る部分などでヘリ返しをしてしまうと
革が摩擦で溶けた時に破れて内部の芯が見えてしまうこともあり得るので、使い所には見極めが必要です。

使うシーンを考えながら選ぶ

いかがでしたでしょうか?
コバ処理のそれぞれにメリット、デメリットがあるので
今後革小物を選ぶ際に、「丁寧に磨いてある!」とか「これは顔料仕上げかな?」「綺麗にヘリ返ししてるな〜」
などと考えながら見てみるのも面白いですよ。

僕としてはプレッシャーですけど笑

ではでは今日のブログはこの辺で・・・
今月もありがとうございました!!

また来月も、どうぞよろしくお願い申し上げます〜!

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