こんにちは、cobalt leather works のクリモトです。
今日は日々の仕事に欠かすことのできない仕事道具たちをご紹介していこうと思います。
僕は革製品を作るのに、平均して20個くらいの道具を使います。
ちょうど冒頭に掲載した画像が参考になるのですが
リングプランナーの周りにズラリと並んでいるのが、製作する際に使用した道具たち。
と、本文に入る前に一つだけ
初めてレザークラフトを始めたい方や、初心者の方々を怖がらせてはいけないのでお伝えしておきますが
こんなに道具がなくても革小物は製作可能です。
専用の道具があるとその分、効率やクオリティの底上げに繋がるので、僕はいろんな道具を使い分けています。
職人ごとに仕事のスタイルは違うと思いますので、参考程度に読んでいただけますと幸いです。
ちなみに、今回は道具にスポットを当てた記事ですが
道具を使って実際に仕事をしている風景はこちらのブログで読めますので併せてどうぞです〜▼
目次
革を裁断する道具|革包丁・カッターナイフ・ハサミ
革を裁断したり、漉いたり(革を薄くすること)する道具です。
包丁は鋼の種類や幅、刃の傾きによって使い分けています。
左から順番に
白紙幅広(30mm)・・・ざっくりと粗裁ちしたり、型紙に合わせて正確に裁断したり一番よく使用します。
白紙斜め刃・・・角度のきついカーブや抉るような曲線をカットするときに使用します。
青紙幅広・・・切れ味が長持ちするので青砥と併用しながら手漉きする際に使用します。
青紙中幅(25mm)・・・くり抜いたり、小回りで使用します。頻度は低いので切れ長する青紙(あまり研がない)
カッターナイフ(大)・・・替え刃で常に切れ味をキープ。柔らかい革の裁断に使用します。
カッターナイフ(小)・・・あえて切れ味を悪くして、癖つけなどに使用。
ハサミ・・・生地や、豚革、粗裁ち(大雑把に切り分けること)などに使います。これは布用ですが色々切ります。
切るだけでも色々ありますが、この中で初心者が選ぶなら断然「カッターナイフ」です。
万能だし切れるし安全だし・・・。練習すれば精度も出せます。
縁を仕立てる①|ヘリ落とし・フチ捻
本裁ちしたパーツのコバ(縁の部分)を仕立てる際に使用します。
切れっぱなしの断面は繊維がむき出しになるため
そのままではデザイン性はもちろんのこと、強度も弱くなってしまいますので、磨いたり、熱や圧で強度を高めます。
左から順番に
ヘリ落とし(細)・・・薄いパーツのヘリ(角)を落とす道具。切れ味が命です。
ヘリ落とし(中)・・・メインで使用しているヘリ落とし。革厚み1.0mm以上であればこちらで。
フチ捻(幅広)・・・メインで使用しているフチ捻。緩いカーブから直線までなんでもござれ。
フチ捻(幅狭)・・・きついカーブなどはこれでいきます。
やらなくても製作自体は可能ですが、この工程があるかないかでクオリティにも差がでます。
縁を仕立てる②|スリッカー・ヘラ
ヘリ落としをしたコバを、コバ剤や水などで磨く際に使用します。
革の厚みによって、使用する窪みを変えたり、ヘラ状の部分で磨いたりします。
ちなみに右の二本は自作のスリッカーとヘラ。ほとんどこの二つを使用しています。
ヘリ返しをしないフチはそのままでは強度が弱くなってしまうので、しっかりと処理をしていきます。
丁寧に磨き、仕立てると美しい線と光沢が入ります。
革に線を引く|デバイダー・ネジ捻
革を縫う前に、「目打ち」といってマーキングするのですが、その目打ちを真っ直ぐに打つためのガイドラインを引くための道具がこのデバイダーやネジ捻です。
革のパーツの厚みや形状によって使うものを変えていますが、メインは左から2本目のネジ捻。
吊るし(購入直後の新品)の状態では使い辛いので加工が必要ですが、仕立てれば万能です。
縫い穴をマーキングする|ヨーロッパ目打ち・菱目打ち
ネジ捻で作ったガイドラインを元に、革にマーキングするための道具です。
縫い幅(ピッチ)はこの道具の刃の幅によって決まってきます。
ちなみに僕は細かいステッチが好きなのでヨーロッパ目打ちの3mmピッチや、菱目打ちの11本目を使用します。
小話ですが、菱目打ちの呼び方に〜本目という呼び方があります。
これは「1寸の幅に何本の刃があるか」で決まります。(1寸の幅に11本の菱刃が付いているものが11本目)
菱目は通常、2刃の目打ちとセットとなるのでヨーロッパ目打ちにはないちょっと特殊な概念ですね。
正確に真っ直ぐがなかなか難しい。簡単そうに見えて、練度が必要な作業です。
縫う|菱錐・丸錐・縫い針
菱錐は縫製する際の縫い穴を開け、形状を整えるための道具です。
メインで使用するのが左から3番目の青い菱錐。宮古島の職人さんに特別に仕立てていただいた特注品です。
ちなみに、宮古島の職人さんは他にも様々なハイエンドツールを扱ってますのでご興味があれば覗いてみてはいかがでしょうか▼
https://6tleatherworks.okinawa/
刃の形状で使用する状況が変わってきますが、右二本の丸錐は主にマーキング用ですね。
縫い糸の先はヤスリなどで研磨して丸くしておきます。
布地と違って開けてある穴に針を通すので尖っていると不都合が多いのです。
サドルステッチという技法を使って縫い上げていくのですが、このようにして糸通しした針を同時に持ちながら使用します。
ちなみに元々は馬具を製作する際に使用されていた技法なので「サドルステッチ」、ヨーロッパでは「クージュ・セリエ」と呼ばれます。エルメスなどで有名な技法ですね。
その他、色々な道具たち
切る、縫うに集約して道具を紹介してきましたが、その他にも色々な道具があるので簡単にご紹介していきますね。
各種定規
直線、曲線色々ありますが、刃を当てて使うことが多いので金属が入ったものを使用します。
アクリル定規も、スチール入りなのでとても便利。
エンマヤットコ(クランプ)・ヤットコ
糊付けした革に圧力をかけて圧着させたり、ファスナーのムシを潰したり、いろんなシーンで使用します。
特に小回りのきく小さいヤットコは針を抜いたり、糸を潰したり、縫製シーンでも活躍します。
ポンチ各種
カシメを留めたり、ホックボタンをつけたりするための穴あけ道具。それだけなのに種類は豊富。
「このサイズ持ってたっけ?」となりがちです。
叩く道具
メインで使用しているのは道具というか・・・木片です。
アフリカンブラックウッドと呼ばれる密度の高い木の棒をそのまま打ち具として使用しています。
重量があるので、自重が使えます。
また、縫い目を叩いて埋めたり、折り曲げた生地の癖つけだったり、何かと叩くシーンも多いですね。
あとがき
いかがでしたでしょうか。
日々、こんな道具たちに助けられながら手仕事をしているのですが
店舗もないのでなかなかそういったシーンをお届けする機会もなく・・・少しでもイメージに繋がれば幸いです。
普段当たり前のように使っているのでこうやって紹介記事にすると結構なボリュームがあり、自分でもびっくりしました。笑
助けられている分、道具もちゃんと大切にしないとですね。
ではでは、本日はこの辺で。
梅雨もいよいよ開けて本格的な夏が来そうですね・・・。
体調にはお気をつけて。今週もどうぞよろしくお願いいたします!
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