こんにちは、クリモトです。
今日は僕の使っている革へのこだわりといいますか、気持ちの部分のお話です。
結構主観や感情が入りまくりなのでノウハウや知識ネタにはなりませんが、こんな考え方をしながら、製作しているよ、というのが少しでも伝わると嬉しいです。
ではでは、本日のお品書き。
革の経年変化はどうして起こる?
はい。とても基本的なお話ではあるのですけど、とても大事にしている部分ですし
このブログを初めてみる方もいらっしゃると思いますのでお話させていただきます。
ざっくり大きく分けると製品に使われている革は2種類、「クロム鞣し」と「タンニン鞣し」が存在します。
それぞれ鞣す(食肉残滓の皮を加工して素材の革へと加工する工程)際に使用する原料が異なります。
特性を例えるなら、「クロム鞣し」は宝石、鉱物の類。「タンニン鞣し」は植物や生き物の類です。
それゆえ、クロム鞣しは変化が少なく、綺麗な状態を保ちやすいのが特徴で、一方タンニン鞣しは経年により変化を起こし、使用毎に味と深みを増していきます。
ではなぜタンニン鞣しは変化を起こすのか、という話なのですが
難しい話は抜きにして、単純に植物って枯れますよね。枯れると緑の葉っぱが赤く紅葉したり、茶色くなったりしますよね。
・・・あれです。簡単でしょう?
一方クロム鞣しは鉱物を由来とした成分を使用しているので、宝石の輝きが失われないのと同様、変化が少ないわけですね。
色のある革も変化するの?
通常、革の経年変化というと、肌色のヌメ革がだんだんと飴色に変化していき、艶がでていくようなイメージをもたれる方が多いかと思います。(特に男性の方)
しかしながらタンニン鞣しであれば、どんな色調の革であれ、必ず経年変化します。
例えば当店のブランドカラーとしているペトロリオ。鮮やかな青と緑の混合色ですが、使用しているとどんどん深く濃く、艶を増していきます。
前述した無骨で男らしい経年変化とも違い、生活の一部にうまく溶け込み馴染んでいく・・・
変質は革の持つ魅力の一つですが、色が入ることでより幅広く楽しむことができるのです。
根底にある色、その「とくべつ」な想い
誰しも、好きな色ってありますよね。(僕はいうまでもなく青が好きなんですけど)
いつもどこかにその色を身につけているとなんとなく安心するような、お守りのような存在。
僕はその「お守り」が、当店の革製品であって欲しいと、いつも想いながら日々製作に励んでいます。
先にも書きましたが、当店の使用している革は経年により変化し、色合いもどんどん変わっていきます。
でも、どれだけ変化してもその根底にある想いは変わらないのです。
それどころか、変化によって不思議とその想いは強まり
「お守り」も同じ時間を過ごしていくうちに、より愛着のあるモノになっていくのです。
これは使ったことのある人にしかわからない感情かもしれませんが
そういったこともあり、僕は高級ブランドの宝石のようにキラキラした革ではなく、あえて変化するタンニン鞣しの革を使うのです。
そして、それゆえに革のアタリの出方や、変化後の色合いを考えた組み合わせなど、そういった要素をデザインに取り込んでくことに常に頭を悩ませていたりもします。
時間の概念は目に見えるものではないので、どうやって落とし込んでいくかは常に課題です。
観葉植物を育てるように、暮らしの中で育てる革製品
さて、話は変わりますが
日々の暮らしの中に、観葉植物を一つ置いてみると、いつもの部屋が少し明るく弾んだ気持ちになりますよね。
光量の多い場所に置いたり、水をあげたり、ときどき風を通してあげたり。
世話をする必要はありますが、花が咲いたり、少し背が伸びたり、柔らかな新芽が出てきたり
その成長は時に人を楽しく、幸せな気持ちにしてくれます。
僕はこの気持ちはどこか、革製品を持つことに共通しているような気がするのです。
実は僕、学生の頃は花屋でバイトをしていたこともあり、植物が結構好きです。
多肉植物や水耕栽培、今は鉢物で観葉植物を育てていますが昔はグリーンマスターなんていう資格を取得したりもしていました。
そんな多くの植物を育てた経験と、革製品を普段持ち歩き、育て、その変化に時々ほっこりしながら穏やかな時間を過ごす・・・不思議なことにとてもよく似ているのです。
よくよく考えたら、タンニン鞣しは植物由来なので当然と言っては当然なんですけどね。
例えば
いつもは自分の部屋でないとリラックスできない→お気に入りの革の手帳があればどこでもリラックスタイムが楽しめてしまう・・・なんていうのは少し極端ですが
本当にそのくらい、革製品を持つことで気持ちが豊かになることだってあるかもしれませんね。
日々の生活の中で育てて、変化して、その変わりように楽しくなったり、幸せになったり。
はじめて革製品を持つ、という方にぜひ触って、楽しんでもらいたい。
そういう入り口のブランドになりたい、と最近思うのです。
あ、初めての方ように簡単なケアのお話はこちらに・・・
さてさて、本日はこの辺で。
なかなか普段考えてることを言語化することがないので難しいですね。
cobalt leather worksの思想というか、考え方がほんの少しでも伝わっていると幸いです。
それではまた来週〜!
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