革職人の工房作業風景|革を切る

革包丁

こんにちは、cobalt leather works のクリモトです。
本日のブログは工房からお届けです。

工房作業風景シリーズも少し増えてきましたので、カテゴリーで仕分けするようにしました。
その他の作業風景もこちらからご覧いただけますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

刃物の種類|革包丁とカッターナイフの違い

革包丁・カッター

革を裁断する方法には様々なやり方があります。
革職人のアイコン的存在である革包丁、一般的な工作用のカッターや、
裁断ハサミ、抜き型(刃型)などなど。

僕が製作の際によく使用するのは革包丁とカッターナイフ。

それぞれの特徴として個人的な見解ですが・・・

特性革包丁カッター
刃の厚み厚い薄い
研ぎ繰り返し研げる研げないので消耗品
切れ味研ぎたては鋭い常に鋭い
汎用性高い低い

ざっくりこんな感じです。
そもそも刃物としての構造が違うので比較するのもどうかと思ったのですが、知識として。

人それぞれだとは思いますが
日常的には革包丁を使い、ピンポイントで切れ味が欲しい時(柔らかい革や、細かいカットなど)では
カッターナイフ、といったイメージで使い分けます。

また、革包丁もいくつか使い分けがあり
刃の薄いものはコバ漉き用、肉厚のものは粗裁ち用、小刀は内カーブ用、などなど
全て一本で!というのも格好良いですが、使い分けると楽なのと
色々種類があると、なんとなく気分が良い(道具好きな個人的嗜好)です。

内カーブ カット

他にも当店では使用していませんが
カッターナイフと革包丁の間の子で「別たち」という刃物もあります。

大雑把にカットする|粗裁ち

粗裁ち

一枚革はとても大きいため、それぞれのパーツに切り分ける前に
大雑把に革を裁断することを「粗裁ち」と呼びます。

細かいパーツに分かれるので
作業効率が上がる他、部分的に漉き加工をすることで厚みを変えることもできます。

この後、本裁ちの前に「漉き」と呼ばれる革の加工が入るのですが
それは別の記事でご紹介しているのでこちらを・・・▼

漉き機

工房作業風景|革を漉く

ちょっと細かい話なのですが、
ベタ漉き(革パーツ全体の厚みを整えること)は革に若干の引っ張る力が加わるため、
ミリ以下の単位で革が伸びたりすることがあります。

微妙なズレが後々致命的なミスに繋がることもあるので
コバルトレザーワークスでは必ず粗裁ち→ベタ漉き→本裁ち→コバ漉きの順番で加工します。

正確にカットする|本裁ち

本裁ち

ベタ漉きで厚みを整えた後、いよいよ革を正確にカットしていきます。
本番の裁断、ということで「本裁ち」と呼ばれる腕の見せ所。

型から直接切り出す方法と、一度罫書き線を入れてから切り出す方法がありますが
後者は合計で2回トレースすることになり、ズレが発生する原因にもなります。

一方で、型から一発で裁断すると言うことは、精度と効率は上がりますが
少しずれると型紙を損傷(型紙ごとカットしてしまう)リスクがあります。

僕は精度重視で型紙一発カットすることがほとんどなのですが
型紙から0.1mmのズレも許されない裁断は、非常に神経を使います。

本裁ち

正確に裁断できた後はなんとなく気持ちがスッキリしますね。

特にお財布など、パーツが多く、小さく細かい製作物は1mmでもズレると最終的に不具合が発生したり
デザインが破綻したりすることがあります。

「切る」と一言にしてしまえばそれまでなのですが
その手仕事には、実は凝縮された技術が詰まっているのです。

おまけ・裁断に便利な道具その1|立ちクリップ

立ちクリップ

ブログを書き始めた頃くらいに一度紹介しておりますが、改めて・・・
革と型紙をバッチリ抑えてくれるクリップ。

洋裁などで主に使用される道具ですが
もう、これがないと仕事にならないくらいです。

日常生活ではあまりみないユニークで、インダストリアルな形状が
道具収集心を掻き立てますが、それ以上に利便性の高い道具です。

おまけ・裁断に便利な道具その2|カッティングスケール

カッティングスケール

透明のアクリル定規にグリッド線と、スチール板がついた定規。
製作する上で何でもかんでも型紙を作っているかと言われると、実はそうでもなくて
単純な「20mm×160mmの長方形」などは、この定規を使ってそのまま切り出します。

あとがき

これまでもぽつぽつと書いてきた工房作業風景ですが
これからも少しずつ記事を増やしていこうかな、と思っています。

「コバルトレザーワークスの革製品がこうやって作られる」
という様子を、少しでも身近に感じていただけたら幸いです。

ではでは、本日はこの辺で・・・
一気に夏感が強くなっていましたが、今週もどうぞよろしくお願いいたします!

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