こんにちは、cobalt leather works のクリモトです。
今日はいつもの仕事場からのリポートを決行してみようと思います。
たまには道具、というかいつもお世話になっている機械のご紹介をば・・・!
今回注目するのがこちら
ニッピ機械の皮漉き機 NP-1 です。
ではでは早速ですが彼がどんな仕事をしてくれるのか、
製品にどう関わってくるのかをご紹介していきますね。
ちなみにコバルトレザーワークスってどんなどこで仕事してるの?
という方はこちらの記事もご参考に・・・▼
他にもこちらでは工房の作業風景をお届けしておりますので、是非ご覧くださいませ!
目次
年代物だけどバリバリ現役!|NP-1
今回クローズアップするのがこちら、皮漉き機のNP-1。
真鍮のプレートがカッコいいです。
実はこの機械、僕より歳上です。(モーターは付け替えてますが)
駆動系の調子が悪くなったり、ゴムバンドがちぎれたりなど、トラブルも時々ありますが
基本的に鉄の塊のような機械なので故障することもなく今の所元気に働いてくれています。
何を作るにしても必ず使用している機械なので、
実は革職人の生命線とも呼べるものではないでしょうか?
昔から革漉きを専門にされる職人さんもいるくらい、とても大切な仕事の一つです。
「漉(す)く」とは?
革を「漉く」というのは、革をスライスして分割することで、要は革を薄くすることです。
革製品を製作する上で非常に重要になってくる工程の一つ。
革の元厚はモノによって様々ですが、一般的な牛革のショルダー(肩)部位だと大体3mm前後。
革小物の中でも複雑な構造のお財布は10枚くらい革が重なる場所もあるため
3mmもの厚みをそのままでお財布を作ると・・・30mmの厚みのお財布が出来上がってしまいます。
ちなみにこちらはロングウォレットのパーツ。
軽く磨いているので分かりづらいですが、ここだけでも革が8枚重なっています。
革は大まかに3つの層によって構成されており、床(裏)面側は繊維が粗く、耐久力もあまりありません。
そのため銀面側を残して網状層を分割することで、革の厚みを抑えることができます。
革を「漉く」ことにより厚みを調整することで、美しく機能的に仕立てることができるのです。
ベタ漉き|全体の厚みを調整する
ベタ漉きとは、部分的にではなく、全面を均一に漉き均すことを指します。
当店では革を元厚で仕入れることが多いのでほぼ毎回この工程が入ります。
ミドルウォレット 2つ分のパーツですが、ベタ漉きによる厚み調整前後。
並べてみると分かりやすいですね〜。
ちなみに、抑え金具の微妙な角度調整、キンキンに研いだ丸刃など、調整項目が多いので実は結構大変。。
あと、0.1mm以下での調節もすることがあるので漉きカスが粉のように飛びます。
お掃除必須!!笑
コバ漉き|細部の厚みを調整する
コバ漉きとは、その呼び名の通りにコバ(端部)の厚み調整の事。
裏地をコバ面に出したくない時や、薄く仕上げたい時に使います。
この動画では裏地に貼った豚革(0.8mm厚)のコバを斜めに向かって0mmになるように漉いています。
そうすることで、部分的に裏地がコバ面に出なくなり、磨く工程でだいぶ楽になってきます。
革包丁でもできないこともないのですが、機械があると早いのです。
革漉きによるメリットとデメリット
メリット|美しく、丁寧な仕立てには必須!
薄くなるから耐久力が落ちてしまうのでは?とお思いかもしれませんが、
基本的に繊維の粗い部分をそぎ落とし、最も耐久性のある銀面は残すので実はそこまで耐久力は落ちません。
むしろ、両面を銀面に貼り合わせた方が、片面床革の元厚の半分以下の厚みでも耐久力があります。
また、耐久力の向上のために芯材を挟んだり、裏地を貼ったり色々と工夫するのが
革小物製作の醍醐味かもしれませんね。
デメリット|荒々しい、革本来の味わいが薄まる?
デメリットがあまり思いつかなかったのですが・・・笑
例えば当店の製品に積み革の技術を応用した カードケース kasane(カサネ) というものがありますが、
これは革を漉くどころか逆に積み上げることで形になる独特なデザインです。
厚みを均す調整こそ必要ですが、時には薄くせずあえて大胆に、荒々しく使うことも必要だと考えています。
あとがき
いかがでしたでしょうか?
日常生活ではあまり触れることのない機械「革漉き機」のご紹介でした。
去年はあまりこういった作業風景にスポットを当てた記事が書けなかったので、
今年は少しずつ増やして行きますね。
今週もオンラインストアは元気に営業中です!
※現在納期に少々長めの納期をいただいております!
プレゼントなどで期日がある場合はあらかじめご一報いただけますと幸いです。
それではまた来週〜!!
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